『合掌。』~ラプロス流・免許皆伝~

2020.03.28

戸建てへの思いをつらねるこのコーナー。このブログを読んでいただくころは、すっかり春めいて、新緑や花々が美しいことでしょう。といいつつ、季節外れではありますが、白川郷に行ってきたので、そのご報告を。

※ 日本にて新型コロナウイルス感染症が発生する以前の内容です。

 

世界遺産、白川郷

白川郷と言えば、ご存知のとおり世界遺産登録された合掌造りの家屋が多く残っている集落です。岐阜県の山地にあり、福岡からは交通の便が良くはありません。前日から金沢に入り、兼六園や最近オープンした金沢建築館を見学。翌朝、食事付き1万円という観光バス日帰りツアーに参加しました。

金沢駅を8時に出発したバスは、北陸自動車道、東海北陸自動車道を走り、1時間半ほどで目的地の白川郷に到着。事前に暖冬で雪がないと報じられていて、あまり期待はしていなかったのですが、金沢に入る前日から冷え込み、私が訪れたときは一面に雪が積もった上に快晴という、とても良い天候。私の日頃の行いが良いということなのでしょう、たぶん。地面に積もったキラキラと輝く氷の粒まじりの雪、見上げると真っ青な晴天の空とそれを白く切り取る雪を頂く山々の稜線の美しいコントラスト。そして、端正な二等辺三角形の大きな屋根が特徴的な合掌造りの家々。その風景は、何十年も昔にタイムスリップして日本昔ばなしを切り取ったような、不思議な、美しい、幻想的なものです。ぜひ皆さんも訪れてみてください。

―と終わってしまうと、この免許皆伝がただの旅行ガイドになってしまいます。そこで、合掌造りというものを考えてみます。

 

日本独自の建築様式「合掌造り」と暮らし

合掌造りは、三角形の大きな屋根の外観が特徴です。3階建て、4階建てに相当する高さがあり、実際にかなり大きいです。内部を公開している合掌造りの家がありましたので、いくつかに入ってみました。大きな建物ですが、生活スペースは1階だけです。囲炉裏をほぼ中央に配した「おえ」という部屋が生活の場です。囲炉裏には常に火を絶やさないように炭が焚かれています。2階、3階の床は格子になっているところがあり、そこから囲炉裏の煙が2階、3階、つまり屋根裏まで上っていきます。煙によって柱や梁といった構造材は燻され、黒に近い褐色にすすけており、柱梁を結んでいる縄も燻されています。合掌造りでは釘や金物はひとつも使われず、縄で結んで固定しているのですが、縄は燻されることで強くなるそうです。

特徴である屋根の急勾配は、積雪で家が潰れないように雪を落とすためなのですが、その内部では、当時盛んだった養蚕業、つまり蚕(かいこ)の幼虫を育て絹の原料となる繭(まゆ)を作るために利用されていました。春~夏が養蚕シーズンだったそうで、かなりの収入源となっていたそうです。

屋根は茅葺き、つまりイネ科の細長い茎をもつ茅という草を束ねて作っています。この茅は油分があるために水を弾くそうです。地元で採れる材料を活用し、それを30~40年ごとに葺き替えるのですが、葺き替え作業は地域の人たちが総出で行ってきたそうです。集落のコミュニティが維持し続けているわけです。

 

このように、雪国という気候から生まれた合掌造りの家屋は、積雪、構造、産業、材料、地域といった点から今見る形となったのでしょう。建築が有すべき4つの要素として、機能性、社会性、経済性、芸術性の4つがあると以前この場でも書いたと思いますが、合掌造りの家屋、集落は、それらを全て兼ね備えた素晴らしいものであると思いました。振り返って、ラプロスがつくりだすプロスペリテシリーズの家が、これら4つの要素を満足するものであるようにと、青い空を見ながら考えました。

※ 日本にて新型コロナウイルス感染症が発生する以前の内容です。