『こんなときの換気』~ラプロス流・免許皆伝~

2020.09.23

今回は、建築における換気とは、というお話。

 

窓が開かなくても換気されているバスと新幹線

日々報告される新たなコロナ感染者数は、なかなか目に見えて減少するまでにはならないようです。感染予防策として、マスク、手洗い、三密を避けるなど言われていますが、建築にできることとして、今回は換気について考えてみます。建築の側からの考察ですので、コロナ対策に絶対に有効という意味ではないことを予めお断りしておきます。

緊急事態宣言が出されていた4月にはバスの窓はほぼ全開で、夜帰宅するときにはまだ肌寒い春の夜風がビュービューと窓から入ってきて、コートを手離せなかったことを覚えています。最近、窓を開けていないバスが多いと思っていたら、バス車内に「約3分で車内の空気が入れ替わります」と書かれていました。窓の開かない新幹線も、6~8分で車両内の空気が入れ替わるように換気されているそうです。このように工学的に根拠のある事実をきちんと示してもらえると、無用な心配をせずにすみます。

建築の場合はどうなのでしょうか。

 

建築基準法で義務付けられてる24時間換気

2003年より、建築基準法により全ての建築物に24時間換気が義務付けられましたが、シックハウスを防ぐことが目的として定められたものであって、換気の回数は2時間で1回以上の割合と定められています。コロナ対策としては十分ではありません。厚生労働省では、コロナ対策の換気回数として1時間あたり2回以上を推奨しています。この2回というのは、30分ごとに窓を開けて空気を入れ替えるということだけではなく、常時窓を開けて30分に1回の割合で空気が入れ替わるようにするということでもよいのです。

 

例えば、リビングダイニングキッチンで30㎡(約18帖)の広さがあり、天井高さが2.5mとすると、室内の体積は75立方メートルです。窓を常時開けたままとして1時間に2回換気するとすると、150立方メートルの空気が窓を通過すればよいことになります。1時間=60分=3600秒なので、1秒あたり150÷3600≒0.042立方メートルの空気が窓を通過すればよいことになります。

窓の位置での風速を毎秒1m、窓の形状は高さ90cmの引違い窓とすると、0.042÷1÷0.9≒0.047(m)。つまり、5cmほど開けておけばよいという計算になります。ま、計算上ですので、30分ごとに窓を数分開けるという方法のほうが簡単ですね。
 

 

効率よく換気するコツは『対角となる窓』

空気が外気と入れ替わるためには、空気の入口と出口、つまり窓を2ヶ所開けなければなりません。このとき、窓は部屋の対角となる位置となると効率よく換気できます。福岡市は北に海、南に山があるため、夏季には日中は海から山、つまり北風が吹き、夜間は山から海に南の風が吹きますので、実際の風速や風向きを考慮してみるとよいと思います。
 
換気をするのは、ウイルスの飛沫が含まれているかもしれない室内の空気を外に排出するためですから、人が常時いない部屋や廊下は飛沫がないため計算上は無視してよいことになります。トイレや浴室は、臭気や湿気を外に排出するために換気扇があるのですが、その近傍の窓が開いていると、外の風によって臭気や湿気を含む空気が室内に逆流してしまうこともあります。

また、トイレや浴室には、24時間換気を行うための換気扇が設置されていて常時運転しており、廊下を通じて居室の空気を換気していますので、廊下などの窓を開けておくと、これが機能しなくなります。24時間換気によって、夜に寝ている間に3~4回ほど換気されていますから、爽やかな朝が迎えられることにもなるのかと。
 
 


 

空気の流れをコントロールして快適な室内環境を

まだ暑い日が続くようですが、やがては寒い季節もやってきます。コロナ対策は必要ですが、快適に過ごすことができる室内環境を維持することも建築の役目です。室内環境の維持、すなわち冷房、暖房も考慮しながら、「計画換気」という考えで空気の流れを換気扇や自然の風でコントロールし、冷暖房も考慮した無駄のない効率的な換気と空調を行いたいですね。